「クロスサマナー:R」徹底レビュー:戦略×放置×爽快アクションが融合した新生王道RPG
1. はじめに:ゲームの基本情報と「リバース」の意義
スマートフォン向け王道冒険RPG『クロスサマナー:R』は、2025年10月8日に日本を含む複数地域(日本、台湾、香港、マカオ)で正式サービスを開始しました。
本作の開発・パブリッシングはSo-net Entertainment Taiwan Limitedが手掛けており、WFSから正式なライセンスを取得して独自に開発されたタイトルです。ジャンルは王道冒険RPGに分類されるほか、ベーシックRPG、リアルタイムバトルRPG、アクションRPGとしての側面も併せ持っています。対応端末はiOSおよびAndroidで、課金形態は基本プレイ無料(アイテム課金制)です。
タイトル名にある「R」は「リバース(Reverse)」を意味しており、その名の通り、前作『クロスサマナー』の壮大な世界観と中世の剣と魔法を舞台にした設定を継承しています。本作は、前作の要素を踏襲しつつも、現代的な要素として「戦略性」「放置要素」「爽快アクション」の三つの要素を融合させており、プレイヤーに新鮮さと懐かしさを両立させた冒険体験を提供するように設計されています。


2. 懐かしさを呼び起こす世界観と豪華声優陣による演出
1. レトロピクセルアートの魅力
本作のビジュアルは、レトロなピクセルアートスタイル(ドット絵)を採用している点が特徴的です。このピクセルアートは、単なる懐古趣味に留まらず、バトル中のアニメーションを含めた外面的なクオリティが、前作『クロスサマナー』の正統進化と呼べるほど優れていると評価されています。
アドベンチャーパートやバトルシーンの描写は、往年のクラシックなRPGの雰囲気を再現しており、懐かしさを求めるファン層に強く訴求する要素となっています。

2. 壮大な物語の舞台設定
物語の舞台となるのは、精霊界、アビス、天上界といった数多の世界が交差する地「エインガルド」です。プレイヤーは、この剣と魔法の中世を背景にした世界で、ひとりの勇者と鬼の侍少女と共に壮大な冒険を紡いでいくことになります。
物語は、豪華な声優陣によるキャラクターボイスによって彩られます。主要キャラクターには、浦和希さん(フォルティス役)と上坂すみれさん(リリカ役)が起用されており、彼ら人気声優陣によるストーリー演出が、ゲーム体験を一層盛り上げてくれます。
ただし、ストーリー導入に関して、前作未プレイのユーザーを考慮してか、比較的マイルドな導入部となっており、プロローグがなくキャラクターの会話劇から物語が始まるため、世界の様子や設定を把握するまでに時間がかかるという意見も存在します。
3. 戦略的な奥義発動が鍵を握るバトルシステム
1. オートバトルとリアルタイム操作の融合
『クロスサマナー:R』の戦闘は、「戦略性」「放置要素」「爽快アクション」の融合によって成り立っています。
基本となる戦闘システムは、パーティ編成されたキャラクターたちが自動で敵と戦うオートバトル方式です。スキル発動以外はほぼ自動で進行するため、操作に慣れないライトユーザーでも迷うことなく気軽に楽しむことができます。このセミオートバトル形式は、忙しい現代のプレイヤーにとっての「放置要素」としての側面も担っています。

2. 爽快感を生み出す「奥義」システム
本作の「爽快アクション」を実現しているのが、プレイヤーが介入できるリアルタイムのスキル発動システムです。キャラクター固有の奥義は、クールタイムを終えると発動可能となり、プレイヤーが任意のタイミングで画面をタップすることで強力なスキルを繰り出せます。
奥義の演出は非常に爽快であり、このスキル発動のタイミングを見計らい、戦況をコントロールすることが戦略的な要素となります。
3. 多様な編成と挑戦可能な高難度コンテンツ
戦略性は、奥義の発動タイミングだけでなく、パーティ編成にも深く関わっています。戦闘編成は、4人のメインキャラクターと複数のサポート枠に対応しており、仲間の組み合わせによって多彩な効果が生まれるため、プレイヤーは多様なチーム編成を試すことができます。
ゲームが進行するにつれて、プレイヤーは多様な難易度のコンテンツに挑戦可能です。具体的には、「煉獄界」や「騎士の塔」といったダンジョンが用意されており、より高度な戦略バトルを楽しむことができる設計となっています。
4. 収集と育成システム、そして長期的なやり込み要素
1. 育成の奥深さとパラメータ強化
RPGとしての核となるのは、やはり「収集と育成」です。プレイヤーは、さまざまな職業と個性を持つキャラクターたちを仲間に加え、彼らを成長させていくことになります。
本作の育成システムは、一般的なレベルアップに加えて、キャラクターの能力を細かく強化する仕組みを持っています。キャラクターには、レベルとは別に「アタック」「HP」「物理防御」「魔法防御」という4つのパラメータ項目が設定されており、これらの項目を強化・ランクアップさせることで、強敵相手でも戦いやすさが飛躍的に向上します。プレイヤーはマメに育成を施すことが、ゲームを有利に進める鍵となります。

2. PVP(アリーナ)と継続的な目標
ゲームは、序盤の初心者育成段階から、後半の高難度コンテンツに至るまで、常に新しい目標と挑戦が用意されています。チーム編成や成長システムを通じて、プレイヤーは長期的なやり込み要素を楽しむことができます。
また、プレイヤーレベルが10に到達すると、「アリーナ(非同期PVP)」が解放されます。これは、育成したキャラクターたちの強さを他のプレイヤーと競い合う場を提供し、継続的なモチベーション維持に繋がる要素となっています。
5. 今後の改善点
1. 肯定的評価と手軽さ
本作は、懐かしさあふれる2Dリアルタイムバトルを楽しめる点、また、懐古的なRPGの描写が再現されている点が高く評価されています。バトルシステムがオートを基本としているため、手軽にRPGを楽しみたい層や、前作の元プレイヤーにとっては特におすすめできるタイトルです。
ゲームのテンポ感については、序章の強制チュートリアルが長いという指摘があるものの、倍速機能が解放されるとテンポが向上し、遊びやすくなるとの意見もあります。

2. 現状の課題と今後の期待
一方で、本作の現状にはいくつかの課題が挙げられています。
まず、ゲーム全体を通してややあっさりとした印象を受けるという評価があります。前作の世界観や設定を継承しているにもかかわらず、特筆すべき際立った訴求ポイントが見当たらず、新規プレイヤーを強く惹きつけるには弱い可能性があるという見方です。ライセンス認定を受けている強みを活かしきれていない状態と評価されており、今後はプレイを継続したくなるような物語の起伏や展開の追加が期待されます。
また、育成や収集を支える報酬面にも改善の余地があります。レビューアーからは、プレイ報酬だけではほとんどガチャを引けないという点が難点として指摘されており、報酬量が増えればゲームの面白さが向上するだろうという期待が寄せられています。さらに、ガチャの内容が、キャラクター本体、欠片、アイテムと混在している点も難点の一つとされています。
これらの課題は、今後のアップデートによってカバーできる範囲であると期待されています。
3. リリース記念特典
配信開始に伴い、リリース記念特典として、プレイヤー全員に以下のアイテムが配布されています。
- 10万ゴールド
- 通常召喚石×1(通常ガチャを1回無料で引くことが可能)
6. まとめ
『クロスサマナー:R』は、So-net Entertainment TaiwanがWFSのライセンスを取得し、レトロなピクセルアートをベースに開発した王道冒険RPGです。前作の世界観を忠実に継承しつつ、オートバトルによる手軽な放置要素と、奥義演出による爽快なリアルタイムアクション、そして戦略的なチーム編成を融合させた意欲作です。

豪華声優陣による演出や、奥深い収集・育成システムは、長期的なやり込み要素を提供します。しかし、新規ユーザーを引きつけるストーリー展開や、報酬体系など、今後のアップデートによる改善が強く期待される点も指摘されています。前作のファンや、手軽に楽しめるドット絵のクラシックRPGを探しているプレイヤーにとって、魅力的な選択肢となるでしょう。














