スマホアプリ「モンスターハンターNow」徹底レビュー:現実世界を舞台にした新たな狩猟体験
『モンスターハンターNow』は、2023年9月14日に配信が開始された、位置情報アクションゲームです。プレイヤーはハンターとなり、現実世界に突如出現したモンスターを狩るという、臨場感溢れる狩猟体験を楽しむことができます。本レビューでは、この「モンハン」シリーズと位置情報ゲームが見事に融合した新しい作品について、その魅力、ゲームシステム、そして実際にプレイして見えてきた課題点を深く掘り下げて評価します。
開発元は、位置情報ゲームの分野で実績のあるNiantic, Inc.であり、本作は『ポケモンGO』や『ドラクエウォーク』などと同じ立ち位置のゲームです。従来のモンスターハンターシリーズの醍醐味である、倒したモンスターの素材を使った装備や武器の生産・強化、アイテム収集といった要素を、現実世界を歩き回りながら体感できる位置情報ゲームとして実現しています。


第1章:ゲームの基本的な魅力と特徴
1. 現実世界とリンクした狩猟体験
『モンスターハンターNow』の最大の魅力は、現実世界を舞台に狩猟を行うという点にあります。位置情報を活用し、日常の風景がそのまま狩猟場へと変貌します。実際に歩きながらモンスターを探し出し、討伐するという体験は非常に新鮮です。
プレイヤーは散歩をしながらフィールドに出現したモンスターと戦い、素材を手に入れてハンターを強化し、最強のハンターを目指します。『モンスターハンター』の世界観と現実世界がリンクした新しい遊び心地が、本作の核となる魅力です。実際に街に繰り出し体を動かすことで新たな楽しみを味わえるため、普段のショッピングや外出が、ハラハラドキドキの冒険のようなワクワク感へと一変します。特に親子や友人と複数でプレイすることで、その楽しさが倍増すると評されています。また、モンハンで遊ぶためにお出かけしたり散策したりすることで、運動にもなるというメリットも指摘されています。

2. シンプルかつ直感的な操作性
本作はスマートフォン向けアプリとして、操作性が非常にシンプルに設計されています。アクションバトルは片手での簡単なタップ&フリック操作で可能です。画面タップでモンスターへの攻撃、上下左右のどこかにスライドすることで回避ができる、極めてシンプルな操作系です。
操作が簡単なため、モンスターハンターが初心者という方でも何の問題もなくゲームをプレイできる点が評価されています。一方で、操作はシンプルながらも、モンスターとの戦闘の緊張感や討伐時の達成感は健在です。
3. スキマ時間を活用できる短時間プレイ
本作の戦闘は、1回の狩猟時間が75秒間と短く設定されているのが大きな特徴です。この短時間の制限により、忙しい日常の合間やスキマ時間でも手軽に本格的な狩猟を楽しむことができます。制限時間ゼロでモンスターが逃げてしまう前に、いかに効率よく大ダメージを与えるかが重要となります。遊べば遊ぶほど自分の腕前が上がっていく感覚は、従来のシリーズ作品と同様に味わえます。
4. 多彩な武器と歴代の人気モンスター
ゲーム内には、片手剣、大剣、太刀、ハンマー、ライトボウガン、弓など、お馴染みの武器種が登場します。プレイヤーは自分の好みに合わせて武器を選択でき、一つの武器を使い続けることも、モンスターによって使い分けることも可能です。豊富な武器に応じたアクションを楽しめる点も魅力です。
また、リオレウス、ディアブロス、ボルボロスといった、シリーズおなじみの強大なモンスターが多数登場します。これらのモンスターを撃破し、素材を集めて武器や防具を制作・強化していくという、狩猟の醍醐味を存分に味わうことができます。さらに、今後のアップデートでさらに多くのモンスターが追加される予定であるため、飽きることなく長く楽しめるゲームとして期待されています。
5. シリーズ最大の魅力「協力プレイ(グループハント)」
モンスターハンターシリーズの最大の魅力といえば、仲間との協力プレイです。本作でも、近くにいるハンターたちと最大4人までマルチプレイ(グループハント)が可能です。
1人では全く歯が立たない強大なモンスターが出現しても、他のハンターと協力することで問題なく討伐できます。リアルタイムで近くのハンターと遊ぶことができ、時にはベテランハンターとの狩りを楽しむ機会も得られます。グループハントを積極的に活用し、素材集めを効率化して最強の装備を作り、一流のハンターを目指すことが推奨されています。
第2章:ゲームシステムの詳細と進め方
1. ハンターの準備と成長システム
本格的な狩猟を開始する前に、プレイヤーはハンターのキャラメイクを行います。キャラメイクは、8つの固定プリントから顔のベースを選び、顔パーツ、髪型・色、ヒゲやペイントメイク、掛け声などを順に設定していきます。スマホ版ならではの肌のキメ細やかさが際立っており、選ぶ顔パーツによって表情がガラリと変わるのが特徴です。
ゲームの基本的な進め方としては、フィールドに出現しているモンスターを狩猟するか、採取ポイントで素材を採集するなどのクエストをクリアし、ハンターランク(HR)を上げていくことです。序盤は、チュートリアルを通じて基本的な操作方法や狩猟の流れを習得し、クエストをこなして経験値を積むことが目標となります。ハンターランクが上がるにつれて、新たなエリアやモンスターが解放され、ゲームの幅が広がります。シリーズ経験者にはお馴染みの緊急クエストもしっかりと用意されています。
大型モンスターは、メインクエストを進めていくうちにレベルが上がり、より強くなっていくため、ハンターの装備強化は常に欠かせません。

2. 戦闘アクションとSPスキル
戦闘画面に入ると75秒間の制限時間の中でモンスターを倒します。操作はシンプルですが、武器種ごとにタップとフリックを組み合わせることで、従来のモンハンシリーズに近い再現性の高いアクション(例:太刀の特殊納刀、居合抜刀気刃斬り、兜割り)を確認することができます。
特に、スマホ版ならではの行動として「ジャスト回避からの攻撃」や、ゲージを溜めて放つ「必殺技」(SPスキル)が存在します。画面中央に表示されるアイコンがSPスキルであり、モンスターに大ダメージを与えることができます。モンスターが強くなって制限時間内に倒せない場合は、このSPスキルを効果的に駆使することが攻略の鍵となります。
3. 装備の生産と強化
装備の生産と強化は、大型モンスターの狩猟やフィールド採集で手に入れた素材を使って行います。従来のシリーズにあったスロットや切れ味といった概念は廃止され、それぞれの武器と防具にスキルが付くシステムになっています。
装備に必要な素材は多岐にわたり、オトモアイルーが収集してくれる鉱石や骨類など比較的簡単に入手できるものから、逆鱗や竜玉など特定の大型モンスターからしか手に入らない希少な素材まで存在します。「じっくり時間をかけて素材を集めて強い装備を作る」という、モンスターハンター本来の楽しみ方が本作でも可能です。プレイヤーは狩猟したモンスターに応じたカスタマイズが可能であり、自分のプレイスタイルに合った装備を追求することができます。
4. 位置情報ゲームとしての快適性とエリア差
狩猟や採取はサクサク行えるように設計されています。特に、大型モンスターは従来の作品よりも体力が低く設定されているため、しっかり装備を整えれば効率よく狩猟と移動を繰り返すことができます。採取についても、オトモアイルーが自動で採取してくれる機能があるため、利便性が高いです。
位置情報ゲームで懸念されがちな「都会と田舎の差」については、目立ったランドマークがない地方でのプレイでも、狩猟や採取にそこまで困ることはなかったというレビューがあります。ただし、採取ポイントの一部はランドマークに紐づけられているため、狩猟と比べると採取ポイントにはやや地域差が出てしまう点が不満として挙げられています。
第3章:ゲームプレイの課題と課金システム
1. 素材収集における運要素と非売却の制約
装備生産に必要な素材の入手方法には、課題点も指摘されています。大型モンスターの狩猟中には特定の部位を破壊できますが、部位破壊をしたからといって、その部位の素材が100%手に入るわけではありません。運が悪いと、必要な素材がなかなかドロップせず、何時間、何十時間と同じモンスターを狩り続けることになる場合もあります。しかし、この確定で入手できない点も「本来のモンスターハンターの楽しみ方でもある」と捉える意見もあります。
また、ゲームを進めるにつれて装備強化に多額のゼニー(ゲーム内通貨)が必要となりますが、ゼニーを稼ぐ主な手段はデイリークエストか課金に限られます。従来のモンハンでは余った素材を売却して金策が可能でしたが、本作では素材を「捨てる」以外の選択肢がありません。カバンが素材でいっぱいになり、プレイが不可になることも起こるため、素材処理に関する改善を求める声があります。

2. マルチプレイの敷居の高さ
モンハンシリーズの大きな醍醐味であるマルチプレイですが、本作では「オフラインで実際に同じ場所に集まらなければならない」という制約があります。このため、オンラインで全国のハンターと気軽に共闘できる従来のシリーズと比べると、マルチを気軽に楽しむための敷居が高いと感じられる側面があります。リアル集会所の活用が推奨されますが、この点は利便性においてデメリットとなり得ます。
3. 体力回復と課金の関連性
本作には明確なスタミナの概念はありませんが、体力が30%以上なければ狩猟ができないというシステムが存在します。ゲームに慣れていないライトユーザーや被ダメージが多いユーザーは、回復手段として「応急薬」や「回復薬」を多く使用することになります。
1日に支給される「応急薬」は5個と定められており、それ以上に狩猟を続けるには、課金アイテムの「回復薬」を使うか、時間経過による体力回復を待つ必要があります。装備を整えることで被ダメージは抑えられますが、ライトユーザーが制限なく長くプレイするためには、課金が強いられるケースも少なくありません。
4. おすすめの課金要素
課金によって、素材の収集効率を上げるアイテムなどを購入できます。特に希少な素材が必要な装備強化を急ぎたい場合には、課金が素材集めの時間を短縮し、理想の装備を早く整えるのに役立ちます。
頻繁にプレイするユーザーにおすすめの課金内容は、「プライムハンターパス」(1,400円)です。これは購入時に500ジェム、さらに30日間毎日50ジェム(合計2,000ジェム)を獲得でき、コストパフォーマンスが非常に良いと評価されています。また、このパスには、ペイントボールの上限やオトモペイントボールの数が増加する特典も付随しています。ジェムは回復薬やペイントボールの購入に使用可能です。
初心者には、回復薬やペイントボールなどの重要なアイテムがお得に手に入る1回限定の「スターターパック」の購入が推奨されています。
第4章:総合評価とユーザーの声
1. ユーザーレビューの傾向
アプリストアにおける総合評価は★4.7と、元々人気のシリーズであることもあり、非常に高い評価を得ています。
肯定的なユーザーレビューとしては、「本当に面白いゲームで、毎日欠かさずプレイさせてもらっている。モンスターも追加され他の機能も追加されてこんな面白いゲーム他にありません」といった意見があります。また、「スマホゲーでモンハンのアクションや操作をここまで反映させた事は素晴らしい」と、アクション性の再現度を評価する声も存在します。
一方で、批判的な意見も存在します。「序盤は面白いが、中盤以降は同じことの繰り返しで飽きる」という指摘や、「歩くのはいいけど求められる連戦の数が異常で場所を選ばないと危ないし、周りに迷惑がかかる。歩くより立ち止まりを要求される」といった、位置情報ゲームとしての設計に関する懸念も挙げられています。その他、通信不良時の処理の悪さを指摘する声も見られます。

2. 総評
『モンスターハンターNow』は、現実世界とモンスターハンターの世界が完璧にマッチしたリアルな世界観で、強大なモンスター達との狩りを存分に楽しめるゲームです。位置情報を活用した新しい狩猟体験、シンプルで手軽な操作性、そして狩猟と装備強化という多彩なコンテンツが組み合わさっています。
戦闘時間が75秒と短時間でプレイできる設計でありながら、奥深さのあるゲーム性を持っているため、プレイヤーを飽きさせません。操作が簡単なため、従来のモンスターハンターシリーズのファンだけでなく、新規プレイヤーにもおすすめできる作品です。
本作は、「モンハン」と「位置情報ゲーム」の融合に新たな可能性と大きな魅力を感じさせる作品であり、現実世界を歩きながら、手軽に本格的な狩猟体験を楽しみたい方には、ぜひ一度プレイしてみる価値のある基本無料のゲームです。





















