【スマホアプリレビュー】『デュエットナイトアビス』:ガチャ・スタミナ制を全面撤廃! 革命的システムとテーマパークのような美しさが交差するアクションRPG
2025年10月28日に正式リリースされた『デュエットナイトアビス』は、Pan studioが開発し、Hong Kong Spiral Rising Technologyが運営する箱庭式オープンワールドRPGです。本作はリリース直前、キャラガチャと武器ガチャを全面撤廃するという異例の発表を行い、ゲーム業界に衝撃を与えました。高自由度アクションRPG(全方位爽快バトルRPG)に分類されるこのタイトルは、魔法と機械が共存するアトラシア大陸を舞台に、身分や立場の異なる2人の主人公(月狩り人/夢の中の少年・少女)の視点から”悪魔”を巡るダークでシリアスな物語を辿ります。
本レビューでは、先行プレイやリリース後の評価を基に、本作の最大の魅力である「美しさ」と「快適性」、そしてその革新的なシステムについて、詳細に掘り下げていきます。


第1章:従来の常識を打ち破る革命的システム
『デュエットナイトアビス』の最も注目すべき点は、「キャラ・武器ALL FREE RPGの「天井」を破れ!」というスローガンに象徴される、従来のモバイルゲームの常識を覆したシステムです。

1-1. キャラ・武器ガチャの完全撤廃と全アイテム無料入手
本作では、キャラガチャと武器ガチャが一切存在しません。さらに、キャラクターや武器にレアリティの概念も廃止されており、無課金でもバージョン1.0時点で実装されている19体のキャラクターと45種の武器を全て揃えることが可能です。
キャラクターの主な入手方法は、特定のキャラクター専用アイテム「想いの欠片」を30個集めることです。この欠片は、「依頼密書」システムを利用した専用クエスト(チャレンジ)のクリアや、デイリークエスト、あるいはステージ周回での雑魚敵ドロップを通じて獲得できます。運要素のあるガチャではなく、時間をかけて努力すれば確実に目当てのキャラクターを解放できる設計は、プレイヤーにとって大きなストレスフリー要素となっています。
また、キャラは直接購入することも可能です。時間をかけるか、お金で解決するか、プレイヤーのスタイルによって選択肢が提供されている形です。
初期段階で獲得可能なキャラクターとして、ログイン特典のベレニカ(事前予約1500万人達成報酬)やレベッカ、メインクエストクリアで手に入るアウトサイダー、ダフネ、マギー、サブクエストのトリュフ&ヘーゼルナッツ、ストーリー分岐型コンテンツ「ラビリンス」のリズベル、そしてチャレンジクエスト「体験型劇場」のサイキ(期間限定)などがいます。
1-2. スタミナ制の撤廃と快適な周回環境
本作では、クエストに挑戦するためのスタミナ制も廃止されています。これは、すべてのキャラ、武器、クエストを無料で楽しめるということを意味し、プレイヤーは「明日まで待たなきゃ…」といったストレスなしに、好きなだけ周回して育成素材を集めることが可能です。素材ステージは回数制限がなく(一部週制限ありの大型ボスなどは除く)、やればやるほど集まるため、ガチ勢は全キャラクター育成を目標にできる一方、まったり派も適当に遊ぶキャラクターだけを育てればストーリーを楽しめます。素材ステージはマルチプレイにも対応しており、フレンドと協力して効率良く素材を獲得することも可能です。
1-3. 課金要素:見た目(スキン)への特化
ガチャとスタミナ制を廃止した本作の主な収益源(マネタイズ面)は、ゲームプレイに直接的な影響を与えないキャラクターの衣装(外見アイテム)に集中しています。公式YouTubeでも「外見システムをメインに据える」と発表されており、リリース後には様々な衣装が実装される予定です。
先行プレイではクリスマス衣装などが確認されており、衣装はステータスに影響せず、自分好みの色合いにカスタマイズ(カラーリング変更)も可能です。衣装以外にも、頭、顔、腰、背中に身に着けられる約100種類の装飾アイテムを購入することができ、ネコミミやカイゼル髭、頭に突き刺さる斧などのネタ装備も豊富に用意されています。
第2章:テーマパークのような美しさと世界観の奥深さ
『デュエットナイトアビス』の最大の魅力の一つは、その圧倒的なビジュアルと世界観です。

2-1. ノスタルジックで幻想的な街並み
主人公の冒険の拠点となるのは、雪が降る土地にそびえ立つアイスレイク城の下に広がる城下町です。この街並みは、中世ヨーロッパや古いアメリカの都市を彷彿とさせる風情があり、初めて訪れた場所にもかかわらず、どこか懐かしさを感じさせます。
特に、広場の中央に鎮座する巨大な球体のオブジェは、訪れるプレイヤーのテンションを自然と高揚させます。この巨大オブジェは、シンプルな球体ではなく、大量の歯車で埋め尽くされた精密時計のような複雑なデザインをしており、スチームパンク系のガジェットのような機械的な美しさも持っています。
建物内部の作り込みも秀逸で、酒場の内装は中世ヨーロッパやファンタジー作品を思わせる雰囲気です。主人公の屋敷の内装では、機械仕掛けの時計を裏から見たようなデザインの窓や、青く幻想的な光を放つ砂時計のオブジェが印象的で、幻想的な雰囲気があります。
2-2. 「光」と「影」のコントラストが際立つ世界
街並みは表面的にはテーマパークのような美しさに満ちていますが、探索を進めると、この街が抱える裏の顔が見えてきます。
この都市では、とんでもないレベルで差別が横行しており、特にツノの生えたカロン族という種族が迫害を受けています。兵士によるカロン族への暴行や、理不尽な銃殺事件が珍しくないという実情が語られています。
メインストリートから裏通りに入ると、光がほとんど入らず薄暗い貧民街が広がっています。メインストリートの美しさが「陽」だとすれば、貧民街の美しさは「陰」であり、線香花火や廃墟を見た時に感じるような、儚く淋しい美しさがあります。この貧民街の存在は、光と影の二面性をもって街に奥深さを与えています。
さらに、街の温かみのある街並みの上空には、軍事目的で作られたであろう厳つく冷たい巨大な飛行艇が飛んでおり、温かい風景と冷たい人工物の異質な組み合わせが、レトロフューチャーやスチームパンクのようなさらなる美しさを付与しているという見方もあります。
第3章:戦闘と探索の快適性
戦闘とフィールド探索における高い自由度と快適性は、本作の「ストレスフリー」設計を支える柱です。

3-1. 爽快なアクションと自由度の高い戦闘システム
戦闘は、迫力と爽快感あふれるアクションRPGであり、キャラクターは近接・遠隔・スキル攻撃を駆使して戦います。
本作の戦闘システムの大きな特徴は、すべてのキャラクターがすべての武器を装備できるという自由度の高さです。近接の刀や槍、遠隔の銃や弓、ウィップブレード、重火器などを、戦闘中にボタン一つでシームレスに切り替えながら戦うことが可能です。攻撃は広範囲でスピーディかつド派手であり、大量の敵を殲滅するハック&スラッシュの爽快感を味わえます。
攻撃モーション自体も洗練されており、武術の演舞を見ているかのような美しさがあります。特に居合の抜刀術がメインの太刀のモーションや、キャラクター固有のスキル攻撃、必殺技は美しく、敵が攻撃を受ける際に放つ光と相まって、画面全体がイルミネーションのように煌びやかになります。例えば、「サイキ」の必殺技は、背中に蝶のような羽が生えて宙を舞いながら攻撃を続ける、煌びやかさと幻想的な雰囲気を併せ持った美しい技です。
難易度については、序盤は攻撃ボタン連打だけでも戦える設計となっており、ライトユーザーでも楽しめます。また、レベル差があっても戦えるバランスが取られているため、育成の自由度も高くなっています。
3-2. 高速移動アクションによる快適な探索
広大なオープンワールドのフィールド(アトラシア大陸)は、高低差のある立体的な構造をしていますが、移動アクションが非常に快適に設計されています。
街中を駆ける際に使用できる「スライディングしながらジャンプ」するアクション(スピンジャンプ)は、歩くよりも格段に速く、体感で10倍くらい速くなっていると感じられるほどです。このアクションは回数制限やクールタイムがないため、マップを縦横無尽に高速移動できます。
さらに、壁を蹴って上に登る“壁のぼり”も最初から使用可能であり、建物が移動を妨げる障害物となる感覚を解消し、広い世界を自由自在に動き回れる喜びを提供します。これらの移動アクションを駆使すれば、メインストーリーを差し置いてでも、「街を好きなように歩き回って散策してくれ!」と言われているかのように、屋根の上など普段は行けない場所にも足を運ぶことができ、別角度からの絶景を楽しむことができます。
街の外のフィールドにも、虹のようにカラフルに輝く光の輪の中心に謎の物体がある幻想的な光景が広がっており、人工物も自然物も美しい、ビジュアルへの強いこだわりが感じられます。
第4章:奥深いカスタマイズと育成要素
ガチャが廃止された分、キャラクターの育成とカスタマイズの自由度が最大限に引き上げられています。

4-1. 「魔の楔(まのくさび)」による自由なビルド構築
ビルドの中心となるのが「魔の楔」というアイテムです。これはキャラクターや武器に装備して効果を発動させるアイテムで、攻撃速度やコンボ持続時間を上げるものから、耐久力アップに特化したものまで、様々なステータス変化をもたらします。
キャラクターに8つ、近接武器と遠距離武器にそれぞれ4つの合計16スロットがあり、「魔の楔」のカスタマイズと、全武器自由装備システムを組み合わせることで、プレイヤーは好みやプレイスタイルに応じて「理想の性能を持つキャラクター」を育成できるというわけです。
魔の楔は「固定数値システム」を採用しているため、ランダム要素による厳選(ガチャ的な周回コスト)が大幅に軽減されており、ここでもストレスフリー設計が貫かれています。
4-2. 相棒「ジェネモン」との冒険
「ジェネモン」は、プレイヤーの相棒のような存在としてキャラクターの能力を強化し、戦闘をサポートしてくれるかわいいモンスターです。属性攻撃力などのステータス強化に加え、攻撃、回復、ステータス強化のスキルで戦いをサポートします。
ジェネモンの入手方法は「餌付け」であり、街中やフィールドで見つけて餌(ランクがある)をあげることで仲間にすることができます。他のジェネモンを素材にしてレベルアップさせ、一定値に達するとランクアップします。ランクアップすると、ステータスを強化する「ポテンシャル」の装備スロットが増え、このポテンシャルは別のジェネモンへ引き継ぐことも可能です。
個性的なジェネモンも多く、例えばミスタードリームというゆるふわ系の見た目からは想像もつかないくらいの低音ボイスを持つキャラもいます。
第5章:総合評価と留意点
本作はゲームをプレイしたレビューアからは「操作性以外は神ゲー」という高評価を受けており、非常に高いポテンシャルを秘めたタイトルです。

5-1. 人を選ぶ点と課題
非常に高い評価を受ける本作ですが、特にスマートフォン版にはいくつかの留意点があります。
- スマホに最適化されていない操作性: アクションゲームであるにもかかわらず、スマホ版の操作性にはクセがあり、特にフリック移動とカメラ操作が暴発しやすい点が指摘されています。壁登りアクションの角度判定がシビアであったり、ねずみ返しを超えられないなど、イライラする場面もあります。主な原因は、ボタンの大きさやキー配置を変えられない点にあるため、PC版やコントローラーでプレイすることで大幅に改善されると推奨されています。
 - 周回要素(グラインド): スタミナがない分、育成はダンジョン周回が中心となります。ステージのオート機能は無いため、お手軽に遊びたいユーザーには不向きかもしれませんが、これはやり込みエンドコンテンツ要素として、ガッツリ鍛えたい人向けの部分でもあります。
 - 端末スペックの問題: 美麗なグラフィックが売りのため、低スペック端末ではカクつく可能性が指摘されており、スペックに不安がある場合はPCでのプレイが推奨されています。また、必要容量はスマホゲームとしては大きい約14GBです。
 
5-2. 総評:新しい時代のモバイルゲームの形
『デュエットナイトアビス』は、「ガチャ天井に疲れた」「課金ゲーは楽しめない」プレイヤーに向けて、ストレスなく広大な世界を探索し、推しキャラを確実に育成できる環境を整えた革新的なタイトルです。翻訳精度も高くフルボイスのストーリーは世界観に深くハマれ、用語説明も丁寧に書かれているため直感的にわかりやすい作品となっています。
システムの革新性、自由度の高いビルド構築、そしてテーマパークのような表の顔と、差別と退廃がもたらす裏の顔という「陰の美」を併せ持つ奥深い世界観が組み合わさることで、本作は今後のモバイルゲーム業界に大きな影響をもたらす可能性があります。
【本作はこんな人におすすめ】 ガチャで爆死するのが嫌な人、推しキャラを確実に手に入れたい人、好きなだけ周回したい人、アクションRPGやビルド構築が好きな人、美しいファンタジー世界を探索したい人。
気になったら是非ともプレイしてみてください。














