電脳世界の救済者となれ!ローグライク×戦略RPG「ニューラルクラウド」徹底レビュー
「ドールズフロントライン」の世界観を共有しつつ、全く新しいゲーム体験を提供する注目作、それが「ニューラルクラウド」だ。ローグライクのランダム性と戦略的なキャラクター育成、そして魅力的なSFストーリーが融合した本作は、多くのプレイヤーを電脳世界の深淵へと誘っている。この記事では、「ニューラルクラウド」がどのようなゲームで、どんな魅力があり、どのようなシステムで私たちを楽しませてくれるのか、そしてどこまでやり込めるのかを、徹底的にレビューしていく。

「ニューラルクラウド」はどんなゲーム?
「ニューラルクラウド」は、中国のSUNBORN Network Technologyが開発・運営するスマートフォン向けローグライク要素を取り入れた戦略シミュレーションRPGである。大人気ゲーム「ドールズフロントライン」(以下、ドルフロ)と世界観を共有しており、ドルフロのキャラクターたちも多数登場するが、物語の舞台やゲームシステムは大きく異なるスピンオフ作品となっている。

物語の舞台は、現実世界ではなく、精神データを保存・バックアップするために作られた電脳世界「マグラシア」。この世界では、AI人形(ドール)たちの精神データを保護する「ニューラルクラウド計画」が進行していた。しかし、突如発生した原因不明の事故により、計画に参加していた人形たちはマグラシアの深層に閉じ込められ、プレイヤー(教授)もまた記憶の一部を失った状態でマグラシアにログインすることになる。プレイヤーは「教授」として、散り散りになった人形たちを救出し、集め、育成しながら、マグラシアで起こった事件の真相と、自身に隠された謎を解き明かすための旅に出る。
ゲームの基本的な流れは、探索ステージ(セクター)を選択し、最大5体の人形からなる部隊を編成。各ステージはマスで構成されたマップになっており、マスごとに戦闘、ショップ、イベントなどが発生する。戦闘は基本的にオートで進行するが、人形の初期配置や、道中で獲得・強化していく「関数カード」と呼ばれる特殊効果を持つカードの選択が戦略の鍵を握る。関数カードは戦闘を有利に進めるための様々なバフ効果をもたらし、その組み合わせ次第で戦況が大きく変化するローグライク特有の楽しさがある。
人形たちはそれぞれ「ファイター」「ガード」「シューター」「メディック」「ユニーク」といったロール(役割)を持ち、個性的なスキルや能力を備えている。これらの人形を育成し、関数カードとのシナジーを考えながら最適な部隊を編成していくのが、本作の醍醐味の一つだ。
美麗なキャラクターイラスト、Live2Dによる滑らかなアニメーション、そして重厚なSFストーリーが織りなす「ニューラルクラウド」の世界は、プレイヤーを知的好奇心と戦略的思考の深淵へと誘う、独特の魅力を持ったゲームと言えるだろう。
「ニューラルクラウド」の魅力とは?
本作が多くのプレイヤーを惹きつけている魅力は、多岐にわたる。

中毒性の高いローグライク戦略バトル
本作の戦闘は、ただキャラクターを強くするだけでは勝てない、奥深い戦略性が魅力だ。各探索ステージ(セクター)に挑戦するたびにマップの構造や出現する関数カード、イベントが変化するため、常に新鮮な気持ちで挑める。戦闘開始前の人形の配置、戦況に応じてどの関数カードを獲得・強化するか、限られたリソースをどこで使うかといった判断が重要となる。特定の関数カードのセット効果を狙ったり、人形のスキルと相性の良い関数を組み合わせたりすることで、爆発的なシナジーが生まれることもあり、この「関数ビルド」を考えるのが非常に楽しい。オートバトルでありながら、プレイヤーの戦略が色濃く反映されるゲームバランスは絶妙だ。個性豊かで魅力的な「人形」たち
「ドルフロ」でお馴染みの人形たちに加え、本作オリジナルの人形も多数登場する。それぞれの人形は美麗なイラストと精巧なLive2Dで描かれ、細やかな表情や動きを見せてくれる。ボイスも豪華声優陣が担当しており、キャラクターの個性を際立たせている。各人形には詳細なバックグラウンドストーリーや、好感度を上げることで解放される個別エピソードが用意されており、彼女たちの内面や葛藤、成長を知ることで、より一層愛着が湧くだろう。育成を進めることで解放される「メンタル映写(スキン)」も豊富で、お気に入りの人形を自分好みの姿にすることも可能だ。深遠で考察しがいのあるSFストーリー
電脳世界「マグラシア」の謎、ニューラルクラウド計画の真相、そして主人公である「教授」自身の秘密。物語はミステリアスな展開が多く、プレイヤーの考察意欲を刺激する。各セクターをクリアするごとに少しずつ世界の核心に近づいていく感覚は、まるで上質なSF小説を読み進めているかのようだ。人形たちの視点から描かれるサイドストーリーも充実しており、マグラシアという世界の多面性を描き出している。専門用語も多いが、それが逆にSF好きにはたまらない深みを与えている。自分だけの「オアシス」を築く箱庭要素
戦闘と育成だけでなく、プレイヤーは「オアシス」と呼ばれる拠点を自由に建設・発展させることができる。オアシスには、資源を生産する施設や、人形たちの快適度を上げるための宿舎、様々な機能を持つ建物を配置できる。家具などを自由にレイアウトして自分だけの空間を作り上げたり、お気に入りの人形を配置して交流したりする楽しみがある。オアシスの発展は、人形の育成効率やゲーム内通貨の獲得にも繋がるため、戦略的な側面も持ち合わせている。洗練されたグラフィックと音楽
ゲーム全体のUIデザインはスタイリッシュで洗練されており、近未来的なSFの世界観を際立たせている。戦闘中のスキルエフェクトやキャラクターのモーションも高品質で、見ていて飽きない。BGMもまた素晴らしく、探索中の緊張感を高める曲から、オアシスでの穏やかな時間を彩る曲まで、シーンに合わせた多彩な楽曲がゲームへの没入感を深めてくれる。プレイヤーフレンドリーな育成システムとガチャ
人形の育成要素は多岐にわたるが、育成リソースの一部はリセット時に返還されるシステムがあり、新しい人形を試しやすい環境が整っている。ガチャ(メンタル検索)に関しても、最高レアリティ(★3人形)の排出率は標準的で、一定回数以内に必ず最高レアリティの人形が入手できる「天井システム」も用意されている。また、ガチャ以外でも「メンタルの欠片」を集めることで特定の人形を入手・強化できるため、無課金・微課金プレイヤーでも時間をかければ十分に戦力を整えることが可能だ。
これらの魅力が複合的に作用し、「ニューラルクラウド」は戦略ゲームファンだけでなく、キャラクターやストーリーを重視するプレイヤーにも強くアピールする作品となっている。
「ニューラルクラウド」はどんなゲームシステム?
「ニューラルクラウド」のゲームシステムは、主に「探索(戦闘)」「人形育成」「オアシス運営」、そしてこれらを支える「メンタル検索(ガチャ)」や各種コンテンツから構成されている。

探索(戦闘)システム:ローグライクの戦略と運
本作のメインコンテンツ。各セクター(ステージ群)は複数の階層で構成され、最終階層のボスを倒すことが目標となる。部隊編成: 最大5体の人形で部隊を編成。人形には「ファイター(近接アタッカー)」「ガード(盾役)」「シューター(遠距離アタッカー)」「メディック(回復役)」「ユニーク(特殊能力)」の5つのロールがあり、バランスの取れた編成が求められる。
初期配置: 戦闘開始前に、指定されたエリア内に人形を配置する。配置場所によって敵の攻撃を受けやすい位置や、逆に安全な位置があるため、戦略的に考える必要がある。特定の配置で発動する「陣形ボーナス」も存在する。
関数カード: 探索中の戦闘勝利後やイベントマスで獲得できる特殊効果カード。攻撃力上昇、防御力上昇、HP回復、特定ロールの強化など効果は多岐にわたる。同じ系統の関数カードを複数集めることで強力な「セット効果」が発動する。どの関数カードを選び、強化していくかが攻略の鍵。
プロトコル: 探索開始前に選択できるパッシブスキル群。プレイヤーレベルに応じて解放され、探索を有利に進める効果を持つ。セクターの特性や編成に合わせて選択する。
戦闘進行: 戦闘は基本的にオートで進行。人形たちは自動でスキルを使用するが、強力な「アルティメットスキル」は手動で任意のタイミングで発動可能(設定でオート発動も可)。
マップ探索: マスを進むごとに「通常戦闘」「精鋭戦闘」「ショップ」「異常エリア(ランダムイベント)」「関数ライブラリ(関数購入)」「回復マス」などが発生。ルート選択も戦略の一つ。
キャッシュ(通貨): 探索中のみ使用できる通貨。ショップでの関数購入や回復などに使用する。
人形育成システム:愛と戦略で人形を強化
入手した人形は様々な方法で強化できる。レベルアップ: 経験値アイテム「EXP」を使用し、人形の基礎ステータスを向上させる。
スキルレベルアップ: 「スキルEXP」と「スキルコア」を消費し、通常スキルとアルティメットスキルの効果を高める。
メンタル拡張(レアリティアップ): 「メンタルの欠片」とゲーム内通貨「DGC」を消費して人形の星ランクを上げる。ステータスが大幅に向上し、新たなパッシブスキルが解放されることも。
潜在突破: 各人形に用意されたツリー状の強化マップ。専用アイテム「突破コア」などを消費してノードを解放し、ステータス強化やパッシブスキル獲得を行う。
アルゴリズム: 人形に装備させることでステータスを強化するアイテム。メインオプション、サブオプション、セット効果があり、厳選することで人形の性能を大きく引き上げる。攻撃力特化、安定性重視、スキル回転率向上など、様々なビルドが可能。
好感度: 人形にプレゼントを贈ったり、オアシスで交流したりすることで上昇。ステータスボーナスが得られるほか、一定値に達すると個別ストーリーやボイスが解放される。
メンタル映写: いわゆるスキン。見た目を変更できる。
オアシス運営システム:憩いの場と資源の源
プレイヤーの拠点となる箱庭空間。施設建設: 「資源生産施設(DGC、EXP、スキルEXPなど)」「機能施設(エンジニア局、検索端末など)」「インフラ施設(快適度向上)」などを建設・レベルアップできる。
宿舎カスタマイズ: 各人形に個別の宿舎を与え、家具を配置して快適度を上げることができる。快適度は人形の好感度獲得量などに影響する。
資源採掘: 時間経過で各種資源を獲得。オアシスの発展度合いによって生産効率が向上する。
人形との交流: オアシス内を歩き回る人形たちと会話したり、プレゼントを贈ったりできる。
メンタル検索(ガチャ)システム
主に人形を入手する手段。通常検索/上級検索: ゲーム内通貨や専用アイテム「上級検索指令」を使用。
指向性検索: 特定の人形をピックアップしたガチャ。天井システムがあり、一定回数以内にピックアップ人形または他の★3人形が確定で排出される。
メンタルの欠片交換: ガチャで入手できる「オーバーフローメンタル」や、特定のコンテンツ報酬で手に入る「メンタルの欠片」を一定数集めることで、未所持の人形を直接交換したり、所持人形のレアリティアップに使用したりできる。
その他のコンテンツ
脆弱性捜査: パズル要素の強い高難易度ステージ。特定の条件下でクリアを目指す。
例外プロトコル: 期間限定で開催される大型イベント。専用のストーリーや特殊ルール、豪華報酬が用意されている。
資源採集: 部隊を派遣して時間経過で資源を獲得する放置系コンテンツ。
ブラックホール: エンドコンテンツの一つ。次々と現れる強敵を倒し、深層を目指すタワー型コンテンツ。高度な育成と戦略が求められる。
マグラシア・パス: いわゆるシーズンパス。デイリー・ウィークリーミッションをこなすことで様々な報酬を獲得できる。
これらのシステムが複雑に絡み合い、プレイヤーに飽きさせない奥深いゲーム体験を提供している。
「ニューラルクラウド」のやり込み要素について
「ニューラルクラウド」は、一度クリアして終わりではなく、長く深く楽しめる豊富なやり込み要素が満載だ。

全人形の収集と完全育成
個性豊かな人形たちは、それぞれ独自のスキルセットと戦術的価値を持つ。全ての人形を収集し、レベル、スキルレベル、メンタル拡張(★5)、潜在突破を最大まで進めるのは、コレクター魂と育成熱を刺激する壮大な目標だ。さらに、各人形の好感度を最大まで上げ、全ての個別ストーリーを解放することも、彼女たちへの理解を深める上で重要なやり込みとなる。メンタル映写(スキン)の収集も楽しみの一つだ。アルゴリズムの厳選と最適化
本作のエンドゲームコンテンツの核となるのが「アルゴリズム」の厳選だ。各人形のロール、スキル特性、そして運用する戦術に合わせて、最適なメインオプション、サブオプション、セット効果を持つアルゴリズムを追求する作業は、まさに終わりなき沼。理想のアルゴリズムを求めて周回し、僅かなステータス上昇に一喜一憂するのは、ハックアンドスラッシュ的な楽しみがある。特定の高難易度コンテンツでは、このアルゴリズムの差がクリアの可否を分けることも。高難易度コンテンツへの挑戦と制覇
「ブラックホール」の深層踏破、「脆弱性捜査」の全ステージクリア、期間限定イベントの最高難易度チャレンジなど、熟練プレイヤー向けのコンテンツは多岐にわたる。これらは、育成の極致だけでなく、関数カードの選択眼、プロトコルの理解、敵の行動パターンの把握など、総合的な戦略眼が試される。クリアした際の達成感は格別で、自身の成長を実感できるだろう。関数コンボと戦術の無限探求
ローグライク要素の根幹である関数カード。その組み合わせは膨大で、未だ見ぬ強力なシナジーや、特定の状況下で輝く意外なコンボが存在するかもしれない。各セクターの特性やボスの行動パターンを分析し、それに合わせた最適な関数ビルドや人形編成を研究し、試行錯誤する過程は、戦略ゲーム好きにはたまらない魅力だ。新たな人形の登場やバランス調整によって、常に新しい戦術が生まれる可能性も秘めている。オアシスの完全発展と理想郷の創造
全ての施設を最大レベルまでアップグレードし、オアシス全体の快適度を最高に保つ。さらに、入手した全ての家具を駆使して、自分だけの理想的なオアシスや、人形たちの個性的な宿舎をデザインするのも、戦闘とは異なるベクトルでのやり込み要素。人形たちがリラックスして過ごせる環境を整えることは、教授としてのロールプレイの楽しみにも繋がる。ストーリーの読破と世界の深掘り
メインストーリーだけでなく、人形たちの個別ストーリー、イベントストーリー、さらにはアイテムのフレーバーテキストに至るまで、マグラシアの世界観を構成する要素は膨大だ。これらを全て読み込み、ニューラルクラウド計画の謎や人形たちの関係性、そして「ドルフロ」本編との繋がりなどを考察するのも、物語重視のプレイヤーにとっては大きな楽しみとなるだろう。
これらの要素により、「ニューラルクラウド」は短期的な目標達成の喜びと、長期的な視点での育成・戦略の楽しみを両立させており、プレイヤーを飽きさせることなく、いつまでも電脳世界「マグラシア」の探索に没頭させてくれる。
総評
「ニューラルクラウド」は、ローグライクの持つ「毎回異なる展開」というスリルと、シミュレーションRPGの「キャラクター育成と戦略立案」という奥深さを見事に融合させた傑作だ。美麗なグラフィックと魅力的なキャラクター、そしてプレイヤーを引き込むSFストーリーは、多くの人々を魅了する力を持っている。

特に、関数カードシステムを中心とした戦略性の高いバトルは、プレイヤーの知的好奇心を刺激し、試行錯誤する楽しさを提供してくれる。オートバトルでありながら、プレイヤーの介入できる要素がしっかりと確保されており、ライトユーザーからヘビーユーザーまで幅広く楽しめるバランスに仕上がっている。
育成要素は多岐にわたるが、無駄になりにくいシステムや、比較的優しいガチャ周りの仕様など、プレイヤーフレンドリーな点も評価できる。オアシスでの箱庭要素も、戦闘の合間の良いアクセントとなっている。
「ドールズフロントライン」のファンはもちろんのこと、戦略的なローグライクゲームが好きな方、魅力的なキャラクターと重厚なSFストーリーを堪能したい方、じっくりとキャラクターを育成する過程を楽しみたい方には、ぜひ一度プレイしていただきたい。電脳世界「マグラシア」で、あなただけの戦略を編み出し、人形たちと共に未知なる領域を切り拓いてみてはいかがだろうか。きっと、その深遠なる魅力の虜になるはずだ。